グランピングという言葉が一般的になり、実際に経験した人数も増加しています。特にコロナ禍が落ち着いた後は、グランピングを楽しむ人の数が急激に増えています。こうした背景から、グランピング産業の経済規模が拡大していることは驚くべきことではありません。
この記事では、グランピング産業の現状や国内外での動向に焦点をあて、考察します。
日本のグランピング業界の市場規模は約1000億円
近年、グランピングを楽しむ人の数が急増し、日本のグランピング産業も市場規模を拡大しています。全国グランピング協会は、2023年中にグランピング業界の市場規模が1000億円に達すると試算しており、2020年時点での市場規模600億円~800億円から、3年で200億円~400億円も拡大したことになります。
グランピング施設数の急増が市場規模拡大の一因であり、現在日本には約350施設ものグランピング施設があり、今後も増加傾向にあると予想されます。グランピング関連の潜在的な市場規模は、200億円~3000億円という報告書もあります。
このような背景には、何があるのでしょうか。本記事では、グランピング施設数の増加と市場規模拡大の要因について考察します。
「事業再構築補助金」がグランピング産業拡大の追い風に
グランピング施設の増加に大きく貢献したのが、経済産業省が実施した「事業再構築補助金」です。この補助金は、中小企業がポストコロナ・ウイズコロナに対応するための事業変革を支援するものとして実施されています。
グランピング業界は、人混みを避け感染症の拡大を抑えるための選択肢として、また通勤の混雑を避けるワーケーションの動きなどにも対応するため、現在大きな注目を集めています。そのため、グランピング関連の事業者は、他の業界と比較して「事業再構築補助金」の助成を受けやすい状況にあります。
これにより、「事業再構築補助金」を受けた事業者が、次々とグランピング業界に参入しています。
グランピングの検索データーも近年大幅に増加
さらに、最近ではインターネットの検索データーにおいても、グランピングに関する検索ワードが急激に増加しています。
2020年のグランピングに関する検索データー数は、前年の2倍以上になりました。また、新型コロナウイルス感染症流行前の2016年と比較すると、2020年のグランピングに関する検索データー数は約5倍に増加しています。
多くの業界からグランピング事業に参入
グランピング産業は急速に市場規模を拡大していますが、この産業に進出する企業は、様々な分野から挑戦していることが特徴です。
例えば、グランピング業界最大手企業である株式会社にしがきの親会社は、京都の丹後・舞鶴地方を中心とするスーパーマーケットチェーン1です。また、自社の敷地内にグランピング施設を設置するホテルもあります。建設業や飲食業、ビルメンテナンス業、保険業などからも、グランピング産業に進出する企業が現れています。
世界的に見ても、グランピングは一大産業に
グランピング人気の高まりは、日本国内に限らず、世界的なトレンドとなっています。
Grand View Researchの試算によると、2022年時点での全世界のグランピング産業の市場規模は約27億ドル(約36兆円)と見積もられ、2023年から2030年までの間に年率10%以上の成長率が予測されています。同レポートによれば、全世界のグランピング産業の売上の35%以上はヨーロッパからのものであり、年齢的には18歳から32歳の若い世代が最もグランピングを楽しんでいるとされています。
また、音楽イベントやスポーツイベントなど野外イベントが開催される場所の近くにあるグランピング場は、比較的成功しやすいというデータもあります。
まとめ
本記事では、国内外のグランピング産業の動向や傾向について考察しました。
国内はもちろん、全世界的に見てもグランピング市場の拡大は続いています。しかしながら、グランピングが一般的になるに伴い、各グランピング施設が何らかの個性を出し、差別化することが求められるようになっています。そうしなければ、潜在的な宿泊者の関心を引くことが困難になる可能性があるでしょう。